フルートもギターも演奏の腕はともかく、なかなかいい音で録れていると思いませんか?
もちろん、プロの録音現場では演奏者も録音エンジニアもずっとうまい上に使ってるハードウェアも私のものとは全く比べものになりません。きっとどんな加工もできるので、中にはかなりインチキな演奏もあることでしょう。
さて、加工の手順ごとに音のサンプルファイルもつけました。
実際に耳で聞いてみれば、マイクロフォンなどのハードはホームページでも紹介しているようにかなりチープなものですが、うまく処理すると私の下手な演奏もここまで化粧ができることがお解りになると思います。
1. 生音録り
Cubaseに録音するわけですが、パソコンはけっこう雑音を発生します。私のパソコンは自作の静音処理を施したものですので、ほとんど気にならないレヴェルです。録音時にはCubaseの入力セクションに僅かにピークリミッターをかけています。
なお、サンプル録音時にはわざとパソコンのファンをフル回転にして、ノイズを混入させています。
フルート演奏(加工なしの生音)
ギター演奏(加工なしの生音)
2. 雑音除去
初段でDCオフセットやハムの除去をして、グランドノイズやエアコンなどのノイズといった定常的にある雑音は逆位相の信号を入れることでほぼ消滅させます。ギターのような音量が小さい楽器でも環境雑音がしないのはそのためです。
フルート演奏(ノイズ除去済)
ギター演奏(ノイズ除去済)
3. 残響付加
ホールで弾いているような残響を付加します。リバーブの品質はかなり重要で、無料のコンボリューションリバーブのSIRを使っています。コンボリューションリバーブは実際のホールの残響を録音し、そのデータを元にリバーブ成分を作り出すものです。1960年代に建てられたヨーロッパの700人収容ホールの残響を愛用しています。
4. ステレオ感調整
音の広がり、奥行き感をステレオイメージャーで調整して臨場感を作ります。
フルート演奏(リバーブ&ステレオ感付加)
ギター演奏(リバーブ&ステレオ感付加)
5. アナログ感付加
このままではデジタル臭く感じることもあるので、真空管アンプのついた高品質業務用テープレコーダのシミュレーターを通して刺々しさを除去し、メロウな感じに仕上げます。
6. マスタリング
マキシマイザーを通して音圧を調整します。これでひずみがなく聴きやすい音量になります。
7. bitレート変換フィルター
ここまで32bit/floatの最高音質で作業してきたものをCD品質の16bitにダウンさせますが、デジタルノイズが出ないようにフィルターを通します。
フルート演奏(音圧調整済)
ギター演奏(音圧調整済)
8. MP3フォーマットに書き出し
直接CubaseからMP3に書き出しをします。音質的には非圧縮ファイルを「午後のコーダ」で変換した方がよいような気がしますが、面倒なので省略しています。
いかがでしょうか、ずいぶんと音が変わることがお解りになったと思います。
簡単に説明するとこのような手順でMP3を作成しています。
実際にはもっと繊細な部分もあるのですが、これらを設定したテンプレートを作成していますので、録音だけすれば、あとは自分の気に入った音質で出力されるようにしています。